平成14年 3月28日 第1回定例会本会議より
「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」への賛成討論
提出された「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」
昭和58年、英国留学中の元神戸市外国語大学生有本恵子さんが北朝鮮に拉致されたとされる事件で、拉致にかかわった日航機「よど号」乗っ取り犯の元妻八尾恵証人が、3月12日に東京地裁で開かれた赤木恵美子被告(旅券法違反などの罪)の公判に、検察側証人として出廷し、「リーダーの田宮高麿(故人)らから指示を受けて工作にかかわった」と自らの関与を認めた。
日本政府が北朝鮮による日本人拉致事件を認定したケースは、これで8件11人となる。北朝鮮は昨年暮れ、日朝両国の赤十字間で合意していた「日本人行方不明者消息調査」を一方的に中止した。北朝鮮に拉致などあり得ないし、あったこともない、というのがその理由である。その欺瞞が今回の証言により根底から覆されたのである。
これは人道問題であると同時に、日本の主権に対する侵害という大きな政治問題である。政府は早急にこの新たな事実を北朝鮮に突きつけ、拉致問題の存在を認めさせるようにしなければならない。
有本さんのご両親をはじめ多くのご家族が高齢化を迎えている現在、この先の心配や懸念の種が尽きないでいるという。ご家族を安心させるためにも拉致された方がたの一日も早い帰国を望まずにはいられない。
よって武蔵野市議会は、北朝鮮に拉致された8件11人に対して、政府としての第一義である自国民を守るという強い意志を内外に示すとともに、拉致された方々の一日も早い救出と事件の解明に全力を尽くすことを強く求めるものである。
以上、決議する。
平成14年3月28日
武 蔵 野 市 議 会
「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」への賛成討論
島崎義司
3月23日、北朝鮮当局が、日本との日朝交渉非公式接触で、拉致事件の被害者で今回政府が認定した有本恵子さんの生存と、昭和52年に失踪した元三鷹市役所の久米ゆたかさん、同55年に失踪した大阪の中華料理店店員だった原ただあきさんの2人の死亡を確認したと示唆していたことを、新聞各紙がいっせいに報じ、同24日には、北朝鮮の赤十字会は、日本人の「行方不明者調査」再開の方針を明らかにしました。しかし、これまでの経緯から実際にどこまで調査するかは定かではありません。
被害者の家族は「三人以外の消息はどうなっているのか」「政府は今後どのように対応してくれるのか」と、戸惑いと不安が交錯する複雑な心境との報道もあり、被害者の早期救出と事件の解明を望む声は、日増しに強くなってきております。
報道によると、有本さんの父、明弘さんは「今は恵子だけのことがわかればいいのではない。拉致容疑にかかわっているみんなの情報を提示して、さらに帰国が実現しなければ心底の喜びとはならない」と語り、有本さんの母、嘉代子さんは「訪韓した首相が会見で拉致問題をはっきり指摘したのが影響した」と話しました。
これまで、拉致疑惑で北朝鮮は平成9年、「一般の行方不明者として捜索する」と表明しましたが、同10年には「わが国には存在しない」と発表。日本側の要請で同12年に再開しましたが、昨年12月には朝鮮総連への捜査に反発して「調査中止」を宣言していたのは、新聞報道でご承知の通りであります。拉致された行方不明者の家族の気持ちを考えれば、全く誠意のない北朝鮮側の対応であったといわざるを得ません。
そのような中、わが国の外務省にも、北朝鮮の立場にたって、拉致問題の解決にブレーキをかける役人がたくさんいたと伝えられております。
平成11年12月、村山富市元首相を団長とする超党派の国会議員訪朝団(いわゆる村山訪朝団)が朝鮮労働党との間で、日朝国交正常化交渉の早期再開に合意したことについて、安倍晋三衆議院議員(現・官房副長官)が「拉致問題にこだわるべき、コメ支援ももっと慎重に考えるべき」と主張したのに対し、外務省幹部は「あなた方がそういうことを主張するから、国交正常化が前に進まない」と発言していた事実が、3月18日の参議院予算委員会で改めて明らかになったのです。
これが国民の生命と財産を守るべき官庁なのかと信じられない思いであります。
当時の外務大臣は河野洋平衆議院議員で、その後、拉致問題は棚上げされたまま、相次ぐコメ支援が行われましたが、この時期、省内で何が話し合われ、拉致問題はどう扱われたのか。幹部の発言も含め外務省の対応を改めて検証する必要があります。
今回、北朝鮮側が軟化しはじめたとすれば、有本さんの母、嘉代子さんが言われたように、有本さん事件で小泉首相が「拉致を棚上げしてコメ支援はしない」と、極めて強い態度を示した成果にほかなりません。これによっていままでの太陽政策は有害無益であることが立証されたともいえます。今までの経緯からも明らかなように、コメ支援は結局、拉致問題解決の糸口にすらならないのです。
先にあげた外務省幹部の国交正常化を錦の御旗にしたようなこれまでの姿勢も、この際、明確に転換しなければなりませんし、今でも“拉致問題棚上げ論”が外務省内に残っているとしたら、すぐさま改め、「拉致問題の解決なくして正常化はあり得ない」という外交姿勢で統一すべきです。報道では、国会議員の中にも、拉致問題より食糧支援や国交正常化が優先という考え方があるようですが、これは国家主権への理解不足と言わざるを得ません。
今回、警察庁が19年前に失踪した有本恵子さんを8件11人目の拉致被害者と認定したことを機に、与野党の国会議員も、拉致問題に対する断固とした姿勢で臨まないと、また同じことの繰り返しになるだけということを認識すべきなのです。
よって、自由民主クラブは、今回の「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」にあるように、首相は強い意志で本事件解明に全力を尽くすと同時に、政府ならびに国会議員にも同一の態度を求めるため、決議への賛成とするものであります。
尚、この「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」は、一応全会一致で可決しましたが、共産党と市民の党は、北朝鮮を拉致問題で擁護するかのような質疑と討論を行なったあと議場から退席していたことをご報告しておきます。
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