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一般質問・代表質問

 

平成14年 3月 5日 第1回定例会本会議 一般質問
『公立小・中学生の学力向上対策』等について

 

(1)「基礎学力」に対する見解について
(2)本市の「学力低下防止対策」の具体的な方策について
(3)「文部科学省による学力全国一斉調査」の本市の実施状況と、今後への反映方法について
(4)「学力の公私格差」「塾通いのエスカレート」「公立中学校離れ」についての認識と、対応策について
(5)「学校行事」「運動部活動」に対する考え方、あり方について
(6)「総合的な学習の時間」の指導方針、指導内容について

 

【島崎】教育は国家百年の大計であるとよく言われます。日本教育史資料によると、我が国では近代国家となるはるか以前の室町時代、西暦1469年から1527年にかけての文明・大永年間に庶民教育の始まりである寺子屋が存在していたことが記録されております。
 新聞のコラムからの引用ですが、江戸時代の初期、寛永年間には京都所司代の求めによって、戦国時代以来の奇談や笑話、笑い話を集めた日本最古と言われる咄本「醒睡笑」が編纂・刊行され、この中には商人の娘が掛け算を知っていたという話も載っております。
 その話とは、「たまの客やちょっとしたことにも九九を使って話す嫁が、離婚して店を出ていくときにも、『三四、十二で嫁入りし、四四、十六で子をもうけ、四五、二十にて去らるるよ』と言った」というもので、これは当時流の笑い話ではありますが、戦国の世においてさえ既に武士や僧侶だけではなく、庶民にまで基礎教育が行き届いていたということを示す一つのエピソードであります。
 こうした庶民教育の風潮を下地として、その後、長らく太平の世が続いた江戸時代には、政治、経済の発達に伴って、読み書きの能力が損得にも直結するようになり、民間による庶民教育、寺子屋は大きく発展していきました。講談社刊行の「大江戸ボランティア事情」によると、専門家の推定では幕末の寛永年間、1850年ごろの江戸には1,500余りの寺子屋や塾があり、全国にはその数は1万5,000にも上ったと言われております。幕末の江戸での就学率は70~86%、日本全国でも男子が40%、女子が15%ぐらいと推定され、そのころのイギリスの工業都市に暮らす子どもの就学率が20~25%で、ヨーロッパ全体の成人の6割が字を読めなかったと言われる時代に、日本は60%という世界で最も識字率の高い国の一つであったと言われております。
 このころの大抵の寺子屋や塾は、武家や僧侶、農民など、他に収入のある人たちが開いていたので、授業料などは生活の足し程度でしかなく、生徒はお志として、都市部では多少の金品や菓子折り、農村部ではとれた野菜などを届ける程度であったといいます。今で言えば、年金だけで食べていける定年後のお年寄りが、地域への奉仕活動として子どもたちを教えるといったようなボランティア活動でありました。では、なぜ全国で1万5,000もの寺子屋や塾ができるほど大勢のボランティアがいたのかというと、それは先生になると、たとえ身分は町人でも、人別帳には手跡指南など知的職業人として登録され、生徒にはお師匠様と尊称で呼ばれて、地域でも知識人、有徳者として尊敬されていたからであります。
 明治5年、学制が施行されて教育が義務化されるに至り、寺子屋は姿を消すことになりますが、寺子屋教育を下地とした明治以降の基礎教育の徹底は、その後の我が国における近代国家の建設、敗戦後の経済復興・発展、そして、現代の世界最先端の工業、科学技術のもととなっていることは、多くの有識者が指摘しているところであります。
 しかし、第二次大戦での敗戦後、教育者が労働者という意識に変わったころでしょうか。教育の荒廃が言われるようになりました。いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊。特に近年、凶悪な青少年犯罪が続発するに至り、教育改革の必要性が各方面から大合唱され、それがいつの間にかゆとり教育という方向に流れていったと私は認識しております。
 ここで、江戸のお師匠様たちが現代の学校を見たらどうでしょうか。まず、教師が皆公務員であることには驚くでしょう。人口120万人の江戸の町はわずか290名で行政、警察、裁判、消防を行っておりました。現代は何十万という教師が皆公務員という肩書にぶら下がり、民から税金を召し上げて、労働として子どもたちに勉強を教えているわけですから。何といっても、この経済不況に民間が苦しみ、その影響もあって自殺者は3年連続3万人を超え、さらにふえ続けているというまさにそのさなかに、教育インターナショナルに加盟する日本で唯一の団体と誇らしげに語っている日教組が、そのホームページの2月13日付、ニュースでは、『ことしの春闘で定期昇給分の確保に全力を挙げ、徹底した労使協議でその実現を図る』と、権利の主張に明け暮れているのです。そのさまからは、もはや江戸の庶民に親しまれた“お師匠様”の姿は忍ぶ影もありません。
 さて、現代の先生たちがこれまでの労働闘争の成果として勝ち取った前出の日教組教文局のページから引用すると、完全学校5日制は私たちが長年にわたり運動を進めてきた大きな成果です。子どもと教職員に物理的、精神的なゆとりを取り戻す絶好のチャンスです、とその喜びのほどを伝えております。つまりこの施策の目的は、単に子どもにゆとりをといったものではなく、労働者としての教師に週休2日を与えるのが大きな目的であり、私から言わせれば、子どもの置かれている事情には関係なく、公立学校教職員の完全週休2日制がいよいよ来年度から実施されるということになるわけであります。
 欧米では学校が完全に週休2日なのは当たり前とも言われますが、御存じのとおり、欧米諸国には教会があります。日曜学校もあります。スポーツクラブのシステムも整っています。学校にかわって教育する地域のシステムが整っているので、週休2日が意義あるものとして機能しているのです。この点については、本市も土曜学校の開設など、一定の対策、努力が図られていることは高く評価したいと思いますが、やはり今、小・中学生以下の子どもを持つ父母が一番心配しているのは、子どもたちの学力の低下であると思います。
 最近の行き過ぎたゆとり路線に対する学力低下への不安の高まりにこたえる形で、ことし1月17日、遠山文部科学大臣は、「学びのすすめ」と題して補習や宿題の奨励で学力低下の不安に学校が対応するよう異例の声明を発表しました。しかし、同時にこの声明では、学習内容削減の徹底も求めており、この削減内容とは、例えば4けた以上の足し算、引き算は小学校では教えなくていいということになっておりますので、5,000円札で買い物をしておつりの計算ができない小学生が出てくる可能性があるということを意味しているわけで、同声明が学力低下防止に有効となり得るのかは疑問の残るものでした。
 さて、教育長は、昨年来、私を含む複数の議員からの学力低下に対する質疑の中で、ゆとり教育という言葉が学力の緩みと誤解されているとか、最近の調査でも日本はトップクラスとおっしゃっていましたが、私たちが小・中学生だった1970年代の小学校6年間の算数の総授業時間数は1,047時間、これが現在は1,011時間で、この4月からは869時間になります。中学校3年間の数学の総時間数でも、私たちのころの420時間から現在は385時間、これも4月からは315時間へと減少になるわけで、これだけの違いがあっても学力には何ら影響ないというのであれば、私たちの過ごした小学校算数での178時間分、中学校数学での105時間分は一体何だったのかと思います。


(1)「基礎学力」に対する見解について

【島崎】IEA、国際教育到達度評価学会による国際学習到達度調査では、授業時間数の減少と期を一にして、1990年代以降、数学と理科ではじわじわと国際的順位を下げているという事実もあるのです。これらのことを踏まえて教育長の基礎学力そのものに対する見解をお伺いしたいと思います。

【教育長】小・中学生の学力向上対策等についての御質問、第1番目が基礎学力についてどう考えるか、こういうお話でございます。これまで日本が営々として教育を大事にした歩みというものに触れられてお話があったわけでございますが、しかし、21世紀、本当に変化の多い時代であります。そういう時代に生きる子どもたちの学力というのはどうあったらいいか、21世紀を支えていく子どもたちの育成という観点であります。
 簡潔に基礎学力ということだけ言わせていただきますと、基礎的な知識や技能というものを確実に身につけさせるということはもとよりでありまして、それだけではなくて、修得した知識や技能というものに基づいて、みずから学ぶ意欲、あるいは思考力、判断力、表現力などの育成、そういうものが重視されている、そういう学習指導要領に示された内容を指すものだと思いますし、それを武蔵野の子どもたちにはしっかりと、きちんと、確実に身につけさせるということが学校の職務だというふうに考えております。

【島崎】基礎学力に対する見解については、確かに教育長が言われるとおり、新学習指導要領の内容に沿ってそれをしっかりと学んでいく体制をつくるというのは当たり前のことなんですが、その内容が実際に3割削減されてしまう。ほんの一例を先ほど挙げましたけれども、4けたの足し算、引き算を教えなくていいとか、3けたの掛け算、割り算を教えなくていいとか、そういったように実際に削減されていくわけですね。そういった中で、国際的な比較の話も先ほど出しましたけれども、日本の学力が保たれるとお考えになっているのかどうかというのをお聞きしたいと思います。

【教育長】学習内容が3割ということで、どこを突けば3割という言葉が出てくるのかということをよく文科省なんかにも伺うわけでありますが、授業時間が削減されて内容がそのままだと、大変ぎゅうぎゅう詰めの教育になるんじゃないかという御批判に対して、内容も削減したということを象徴的に3割とこう言ったわけでありますが、例えば数学の例で見ますと、小学校から内容が移されたのは、反比例、文字を用いた式、図形の合同、これが中学校へ参りまして、中学校で反比例の式とグラフとまとめて学習する、文字を用いた式の計算というところで、小学校の内容もまとめて指導する、図形の合同についても、図形の合同条件というところでまとめて勉強する、こういうことで整理をし、さらに中学校の資料の整理、あるいは標本の調査というのは、高校の必修科目の中で身近な統計ということでまとめて学習するようにする、あるいは学校の一元一次不等式、二次方程式の解の公式等については、高校の方程式及び不等式ということで、高校は義務教育機関ではないですが、今、97%以上の子どもが進学しているという実情に鑑みて、今回の学習指導要領というのは、小・中・高を通して内容を調整したということとか、あるいは体育の保健で体の発育の勉強をし、理科でも男女の体の特徴とやっていたのを、保健で発達ということでまとめて内容を整理してやろうとか、そういうことであります。
 それから、算数の4けた、5けた、6けたと、これまでどんどんこれでもかと計算をしていましたが、計算の原理というのはほぼ2けたをやれば、そして3けたをやれば、全部習得できるわけでありまして、あとはそれを間違いなくやるということでありますから、やってはいけないということではありませんで、全員が習得するのは、確実にできるようにするのが3けたまで、こういうことであります。生活の場面で5,000円でどうだとかというような計算をしてはいけない、こういうことではないわけであります。
 3.14の問題もそうであります。3しか教えないというようなことで、私もいろいろな市民との出会いの中で質問をされるんですが、そんなことはありません。この前の学習指導要領と全く同じで、円周率というのは3.14で考えます。ただ、このトラックならトラックの大きさをはかったりするときに、およその数としてまとめて計算するときには、3で概算するというようなこともできるようにしておく、こういうことを言っているだけであります。そういうところがいろいろ強調されているということでありますから、いずれにしても整理されて厳選された内容は、きちんとどの子にも身につけさせるように努力をしたいというふうに思います。


(2)本市の「学力低下防止対策」の具体的な方策について

【島崎】次に、去る2月10日に発表された全日本中学校長会の調査では、学校週5日制の施行により、校長の7割が学力が低下すると考え、5割が塾通いの増加を予想し、9割がテレビやゲーム、漫画などで過ごす時間がふえると考え、8割が家庭での過ごさせ方に不安を持っているということが明らかになりました。週末の過ごし方については、文部科学省では、自然体験活動などゆとりの中で生きる力をはぐくむという方針を打ち出しており、本市の土曜学校やセカンドスクールはその方針にまさしく合致するものとは思いますが、もう一方の不安である基礎学力の低下については、有効な対策となっているのでしょうか。土曜学校におけるピタゴラスクラブや科学教室、国際理解は、数学や科学、英語などに興味を持たせる機会をつくるという趣旨と理解しており、これが基礎学力低下防止策の一環であるというとらえ方は私はしておりません。いずれにしろ、学力低下防止への取り組みの具体的な姿が、いつ、どこで、どのように実施されるのか、いま一つ私には見えません。
 東京都台東区の教育委員会では、区内の中学生の希望者を対象に土曜スクールを開設することが報道されておりました。これは学力低下が懸念される中、基礎学力の向上策として、区立中学の全7校で補習を実施するというもので、この4月から第1、第3土曜日の午前中に3時間程度、各学校の教室を利用して開設するとのことです。希望した生徒が1クラス20人程度の少人数で、国語、数学、英語などを学ぶ授業の補充的な面に主眼を置くというもので、休日のため、当該学校の教諭は参加せず、教員免許を持つ地域住民や大学生などのボランティアなどが講師を務めるというように、その時期、実施方法、場所、時間などが明確に示されております。同区では、中学校での実施状況を見た上で、小学校でも検討したいともしております。
 ここで改めて本市の学力低下防止対策の具体的な方策をお示し願いたいと思います。

【教育長】学力低下防止策はというお話でございますが、土曜学校が果たして学力低下防止対策になるのかというお話でありますが、先ほど申し上げましたように、思考力、判断力、表現力と、そういうものを含めた学力という意味では、学校は組織的、計画的、系統的に授業を通してそういう力を身につけさせるわけでありますが、5日制の趣旨にもありますように、学校だけではなくて、家庭や地域とのバランスのとれたそういう子どもたちの学習体験の場というのが大事だということが指摘されているわけでありますから、学校ではできないような、まさに「ひらめく かんじる かんがえる」という体験を通しながら、さまざまなことを学んでいくという機会として得させるわけでありますから、今まで子どもたちの体験がどんどん乏しくなってくる、人間関係の希薄が進んでいる、そういう中でそれを広げていくということは、おそらくそこで学んで、学ぶことの楽しさ、追求することの楽しさ、あるいは深く味わうことの喜び、友達と一緒に何かをしたという喜びが基盤となって、学校での組織的、系統的、計画的な授業というものを、十分にその内容を受けとめる力というもの、そういうものが家庭や地域社会で、あるいは土曜学校というものを通して得させる。それが両方相まって21世紀に生きる子どもたちの力がついていくものだというふうに考えるわけでございます。
 それから、市の防止対策についてはどうかというお話でありますが、何としても学校の役目というのは、先ほど申し上げましたように、そういう基礎的、基本的なものを身につけることは当然のことでありますが、やっぱりみずから学んで考える、判断する、表現する、そういう力をつけていくということでありますから、その中で特に基礎・基本を確実に身につけさせることが重要でありますから、そこをどうするかということでありまして、これまでの40人、平均では小学校は32.2名ぐらい、中学校では37名ぐらいの学級単位でありますが、そういう学級単位にとらわれずに、小人数で指導する体制というものが、平成14年度は国及び東京都の措置として23名、そして、本市独自で21名講師という形で、小人数で、そして、同じ教材を小人数で学び合う行き届いた教育をするということと同時に、習熟度、理解の程度に応じてきちんと指導をするということを通して、一人一人に応じた基礎・基本の徹底、学習、そういうものができるように指導体制を充実するということが、学校での一番大事な点だろうと思います。そして、そういう基礎・基本を獲得したものを生かしながら、みずから学び、問題解決をし、探究をするというような総合的な学習の時間でも、またそういう表現力や判断力や思考力というものを養っていく、そういうことを重視してまいりたいというふうに考えているわけであります。

【島崎】学力低下防止対策について、答弁のほとんどは土曜学校についてお話をされていて、そのことは私もわかっておりますし、高く評価したことは質問の中でも入れさせていただきました。少人数指導でしっかりと新しくなった指導要領に従ってその枠内でやっていく、きちんと子どもたちが理解できるように指導していくということをおっしゃっていたわけですが、親が心配なのは時間枠が減少してしまうというこの事実なんですね。これに対して、先ほど例を挙げましたけれども、台東区とかは、文部科学省はあまりいい顔をしていないみたいなんですけれども、補習を行う。ほかでもやるというようなことをきのうの質疑の中でもやっておりましたけれども、そこなんですね。親が心配なのは、時間枠自体が減少してしまうことによる学力低下の懸念ですね。ここのところについて、本市としてもうちょっと対策が欲しいところだなと思うわけです。そういったことをぜひ研究していっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【教育長】台東区の補習の問題でありますが、御案内のように、学校でできないような生活体験、社会体験、自然体験等をする、あるいはまたそういう学びをするということでありますから、補習というものが果たしてどうかということで、本市は土曜学校のような発展的な、学校ではできないものをやったということであります。なお、補習授業ということに関して言えば、学校でも放課後の時間等に希望者に補習を全中学校で行っておりますし、夏期休業期間中にも行っている。テストの前にも学習相談日というようなことで全校で行っております。これも一層子どもの習得状況を見ながら、きちんとどの子にもしっかりと身につけさせる努力を、今後とも御指摘のとおり充実してまいりたいというふうに考えております。

【島崎】ちょっと認識が違うところがありますので、そこだけ指摘しておきたいんですけれども、まず、台東区の隔週土曜日に行う補習ですね、午前中3時間の。これは午前中3時間補習を行うということですので、全然教育長の言っていることと違いますので、そこだけは訂正しておきたいと思います。
 それと、何だかんだいっても、やっぱり内容は削減されるわけなんですよね。現実を見ていただきたいと思うんですね。国語での必修単語数が700から500になるとか、そういったこともあるわけですね。ちょっと今、資料がないので確かなことは言えないんですけれども。現実を見て学力低下防止対策をしっかりと立てていってほしい、これから4月から始まったものの様子を見ながら、そういうことを言っているので、よろしくお願いします。

【教育長】全体で御指摘いただいています子どもの基礎的な学力をしっかりと身につけさせるようにという御意見については、全面的に同感をするわけであります。また、武蔵野の教員の大半の先生方は、自分が教えている子どもたちにとって、少しでもよりよい方向へ成長させたいという思い入れ、熱意、そういうものはたくさん持っておられる先生が多い、こういうふうにも思っております。今後とも研修あるいは指導、助言を通して、御心配のないように努力し、もし学習指導要領その他の内容で、こういう不備がある、こういう点が落ちているというようなことが、学校の先生方、学校からも御意見を伺いながら、必要なことは意見してと積極的に申し上げていきたいというふうに考えております。


(3)「文部科学省による学力全国一斉調査」の本市の実施状況と、今後への反映方法について

【島崎】新聞報道では、4月から新学習指導要領が実施されるのを前に、子どもたちの学力の実態を探る文部科学省の全国一斉調査が1月24日から行われたとありました。小学校5、6年生と中学生を無作為に抽出した計49万人を対象としたものだったようですが、本市の生徒についてはどのような形で行われ、今後その結果がどのような形で本市の教育に反映されていくのでしょうか、お伺いいたします。

【教育長】学力調査ということでありますが、国立教育政策研究所による小学校及び中学校における教育課程実施状況調査が、御指摘のとおり1月24日に中学3年生、2月21日には小学校5、6年生と中学校1、2年生を対象に実施されたところであります。国立教育政策研究所からの平成13年度9月7日、都道府県教育委員会教育長あての通知文が本市にも参りまして、そこでは、調査対象校の名称を明らかにすることは、抽出調査における信頼性の確保に好ましくない影響を与えるなど、本調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと考えますので、学校名については非公開扱いとなっています、としておりますので、本市教育委員会としては、実際どういうふうに行われたのかということについては明らかにできないということであります。いずれにしても、結果については、平成14年、ことしの秋に報告がされて、全国の状況として、今の小学生、中学生の基礎的、基本的な内容の修得状況はどうかということが明らかになりますので、そういうものも参考にしながら、一層学校も努力する、教育委員会ももちろんでありますが、努力するということに相なるわけであります。


(4)「学力の公私格差」「塾通いのエスカレート」「公立中学校離れ」についての認識と、対応策について

【島崎】昨年末に行われた文部科学省の調査結果では、東京にある私立中学の35%が完全週5日制の実施を検討していないという結果が公表されておりました。今後は学力の公私格差がますます進み、塾通いのエスカレートや公立中学校離れによる、地域コミュニティからの子どもの減少も心配されてくるのではないかと考えますが、これらのことをどう認識し、本市はどう対処すべきとお考えでしょうか、お伺いいたします。

【教育長】私立の方が、けさの新聞に載っておりますように、5日制を実施しない、そして、授業時数をふやして基礎学力を徹底するということを私立の特色というふうに打ち出して、少子化の中で私立中学校が生き残っていく、こういう方策も含めてお考えのようであります。そういうことで、公立離れをするのではないかというようなこともあるわけでありますが、本市の塾通いということについては、昨日もいろいろ御質問がありましたが、平成13年2月にまとめました本市のアンケート調査によっても、塾に土曜日に通っているというのは、小・中あわせて3.6%ということでありますが、それはいろいろ親御さんの選択ということがあるわけでありますが、週休2日制の時点ではそういう状態であります。何としても公立学校が頑張っているぞ、なかなか武蔵野の公立学校はすばらしいというように我々は努力をしなければいけないということでありますが、ご案内のように、地域に密着した活動というものがさまざまな形で報道されて、武蔵野改造計画だとか、吉祥寺の緑を考えるという子どもらしい、実際に足を運んで調べたり、役所に来て尋ねたり、そういうことをまとめてディスカッションをして、ああいうことをまとめて発表する、こういうものも新聞紙上だけではなくて、ある学校のケースについては、外務省の国際的なホームページにその内容として紹介をされているということでありますから、学校が地域の人材、地域を生かし、地域に学び、地域に密着して教育活動を展開するということは、私立にはできない場でありますので、そのほかセカンドスクールを含め、そしてもちろんのこと、中学校の先生の小学校の授業への参画だとか、あるいは都立高校の先生の中学校への参画というようなことも始まってきておりますので、そういうものも一層小・中・高が公立学校として連携をし合うということも一つの魅力づくりとして、今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。

【島崎】学力の公私格差とか塾通いのエスカレート、公立中学校離れは地域の公立小・中学校の魅力づくりで対応するのだという精神論的な話に終わってしまいました。それはそれでいいんですけれども、ぜひ魅力を出すようにやっていただきたいんですが、一番最初の質問ともこれはリンクするんですけれども、いくら魅力づくりをしても、その学校に入れたら学力が低下しちゃうんだといったら、やっぱり離れていっちゃうんですね。それがひいては地域から子どもたちが離れていくということにつながってしまうんじゃないかというところが、私は懸念をしているところでございますので、よろしくお願いいたします。


(5)「学校行事」「運動部活動」に対する考え方、あり方について

【島崎】1月26日から宮崎市で行われた日教組の教研集会では、「学力低下の懸念に教師はどう答えるか」というテーマについて討議がなされ、『学校行事や運動部活動を大胆にリストラして、学力向上に専念しよう』との報告が出されたと、1月27日の日経新聞で報じられておりました。これは始業式や終業式、生徒総会、運動部のクラブ活動などを削減してしまおうというとんでもないものであります。なぜクラブ活動でも運動部ばかりをこれほどまでに目のかたきにするのかと思いますが、私はこれらの行事や活動は、生徒の自主性や規律・規範意識、心身の健やかな成長や思いやりの心を育む重要な役目を担っているものと考えます。今回の教研集会で、日本最大の教員団体が組織として出したこの学校行事や運動部活動の削減という見解を踏まえて、子どもの教育環境確保という観点から市長に、また、総合的な教育の責任者という観点から教育長に、学校行事、運動部活動に対する考え方、あり方をお伺いしたいと思います。

【教育長】学校行事、部活動ということで、日教組等関係のお話がありましたが、学校における教育課程の編成実施というのは、校長の責任のもとで組織的に行われるものでありますから、一部の団体の構成員の発言、あるいは団体の方針に立ってそれが編成されたり実施されたりということでは全くないわけであります。公立学校で法律に基づいて責任をもって実施されるものであります。
 御承知のように、学校行事は特別活動の重要な柱の一つであります。教育課程にきちんと位置づけているわけでありまして、また、部活動についても、再三答弁してまいりましたとおり、子どもたちの健全育成、中学校生活の思い出、あるいは充実というようなことで、そのもたらす意義というのは大変大きいわけでありまして、武蔵野の先生方は、目の前にいる子どもたちにとってよりよいあり方ということで懸命な努力をして、昨年も存続が危ぶまれた部活動についても、何とか継続をしているわけであります。授業時間の確保のために、年間の授業時数等を計算し、そして、大体60時間から80時間学校行事に充てるというふうに計画をしていただいているわけでありまして、もちろん何度も何度も予行演習をして本番を迎えるとか、そういう形だけをつくるとかというような時間は削減しつつも、しかし、子どもたちが、御指摘のような学校への帰属意識あるいは連帯感、学校の生活の節目、そして、何かをみんなでやり遂げたという喜び、そういうものはこういう活動でなければなかなか得られないものでありますので、今後ともきちんとその目的を達すべく実施いただくということで考えております。

【土屋市長】私にも学校設置者として、いわゆる始業式や卒業式、生徒総会、運動部のクラブ活動などについてどう考えるかということでございますが、学校の設置者ということからすれば、児童・生徒が生き生きとして活動できる場の確保、活発な教育活動を進めていくための教材、教具の整備、また、それを進めるための適切な指導者の確保といったようなことについて、予算措置をしたり、あるいは条件整備をしたり、こういうことが私の役目であります。
 同時に、市長という教育行政も含めて総合調整をする立場で申し上げますれば、基本的には始業式や卒業式は、団体的な体系的な教育を行っていく小・中学校については必須のものと考えておりますので、先ほど教育長がお答えいたしましたように学校のプログラム編成権は校長以下にあるわけでありますが、こういうことを取りやめするような者がいたら、これはきちっと総合調整権の中で指導していきたい、このように考えております。

【島崎】学校行事、運動部活動については、市長と教育長から御答弁がありました。学校行事はしっかりとやると。ただ、練習の時間を減らすようなことを言っておりましたけれども、その辺も、先ほどの市長の御答弁の中にありましたけれども、金子議員からの質問に対して、武蔵野市の「はたちのつどい」は本当に粛々としっかりとできているという下地は、やはり武蔵野市で小・中学校でしっかりとしたこういう学校行事に対する対応ができているあかしだろうと私は思っておりますので、ここのところは非常に大事なところだと思いますので、減らすなんておっしゃらずに、ぜひきちんとやっていただいて、そのほかにも学力低下防止対策を打っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【教育長】行事等については、周年行事等を見ていただいてもおわかりのとおりでありまして、行事というのは行事なりの子どもが育つ大事な機会でありますので、今後ともきちんとめりはりのついた内容豊かな教育活動を進めるように指導してまいりたいというふうに考えております。

(6)「総合的な学習の時間」の指導方針、指導内容について

【島崎】小学校3年生から新設される授業、「総合的な学習の時間」の指導内容についても心配であります。新学習指導要領では、その学習のねらい、学習活動の例、配慮事項などを示しておりますが、前出の日教組では、『総合的な学習の時間は文部省の教育改革の中心的位置を占めるものですが、私たちからすると、内容を拘束されない、自由な内容に取り組むことができる時間でもあります』と述べております。そして、同組合の教育課程検討委員会が『これまで提起してきた総合学習の内容、性・公害問題、人権・差別問題、生産と労働問題、原爆・平和・戦争問題、安保・基地・アジアへの経済進出問題等々を取り上げるよう検討している』ようなのであります。確かにそれぞれ一つ一つは大事なテーマではありますが、教え方によっては、ある一定の立場からの物の見方、偏向的な思想を子どもたちに押しつける可能性も含んでおり、私は危惧を感じております。
 そこで、本市における「総合的な学習の時間」の指導方針、指導内容について、どのような考え方をお持ちか、明らかにしていただきたいと思います。

 文献に寺子屋という文字が出てきてから500年、我が国では少なくとも昭和の初期までは教育は国家百年の大計でありました。しかし、近年の教育を見ていると、つかさどる文部科学省も朝令暮改は当たり前、教える現場の教師も労働者化が一層進み、教科書を見れば、どこの教育をしているのかわからないというのが現状であります。これでは教育は国家百年の大計どころか、10年先も暗たんたる思いを抱かざるを得ません。
 アメリカでは1980年代の初期、レーガン政権のときに「教育改革のために卓越した教育に関する全米委員会」を組織して、「危機に立つ国家」という報告書を出しました。そこでは、『かつてアメリカは比類なき卓越した力を有していた。しかし、今や我々の社会基盤は凡庸主義という名の激しい波に襲われている。結局のところ、我々は無謀にも一方的な教育上の武装解除を犯してきている。歴史は怠け者には手厳しいものだ』と述べております。その後、この報告を受けて、学力向上のための政策に転じたことによって、アメリカの教育が復活したことは御承知のとおりであります。ここに教育改革の岐路に立つ今の日本の姿があり、学ぶべきヒントがあるのではないかと思うのであります。
 日本の公教育は、税金の中から予算として配分されて行われているものであります。公立小・中学校に子どもを通わせる限りは、ほとんど学校選択の自由も、教師を選択する自由もありません。どうか日本の公教育において、少なくとも本市では、子どもたちを学力の面でも最大限守っていただけるようお願いを申し上げ、以上で私の一般質問とさせていただきます。

【教育長】総合的学習の時間の方針、指導内容はということでありますので、簡潔に申し上げますと、1つは、教師個人1人の発想で進めるというものではなくて、あくまでも最低の学年等を中心にして、組織的に論議をし、子どもたちのためにどういう単元を組み、どうするかということ、そして、その内容については、校長の決裁を受けて実施される、そういう組織的に取り組むということをまず第1に掲げておりますし、2番目は、活動あって学びなしということ、いろいろな多面的な活動をして調査をしているけれども、何かその中から課題を見つけ、それを解決するというような力を子どもたちにつけていくというような、そういう点が見失われないように、活動があって学びなしということのないように、きちんと学習のねらい、そこで子どもたちにどんな力をつけるのかということを明らかにしつつ進めるということが第2点、第3点目は、地域に根ざして、身近なところで子どもたちが課題を探り出し、直接的にさまざまに活動をしながら学んでいくということを大事にしたい。高邁な永遠のテーマに従って何かに挑戦するということは、それはすべてにそういうところへつながっていくわけでありますが、そういうこと、4番目は、何としても学習の過程、初めでも、その途中でやっている場面も、あるいは最後にまとめて発表する場も含めて、広く保護者や地域に公開をする。そして、いろいろご意見も伺う。そして、こういう意図でこういう学習を展開したということをきちんと開いて説明をするということ、5番目は、評価の観点を明確にして、子どもたちがどんな活動をして、どんな特色が見られて、そこでどんな力が培われているのかということを絶えず明らかにする努力を、これは通知表その他を含めて保護者に伝えていく努力をするよう学校にお願いをしているところでございます。

【島崎】総合的な学習の時間の指導方法については、これは組織でやるんだから、そういう心配はないということなんですけれども、これに先立って、各学校で学習発表会みたいなものをやっていますよね。道徳研究とか、そういった中の一環で。その展示なんかを見させていただいた中では、やはりちょっと私が取り上げた日教組でこれまで研究してきた内容を取り入れているんじゃないかなという発表が、どうも目立つような気がしているんです。錯覚だと思われるかもしれないんですけれども、私はそう感じてしまうんですね。そこのところを教育委員会でもしっかりと目を光らせて指導していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【教育長】総合的な学習の時間については、私どももそういう目を持って、きちんとバランスのとれた、どの方が見ても、おおっ、いい勉強をしているなと、こういう内容となるよう今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。

 

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