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一般質問・代表質問

 

平成20年 6月12日 第2回定例会本会議 一般質問
水道事業を取り巻く現況と課題、事業用建物耐震助成制度の適用等について

 

▽ 水道事業を取り巻く現況と課題について

【島崎義司】 西暦2046年、日本の人口が1億人を切る一方で、2045年、世界の人口は現在の約66億人から90億人へと増加するとの国立社会保障・人口問題研究所や国連の推計があり、世界規模での食糧不足、またその食糧を生産するために必要な水不足も今後大きな問題となるとの指摘があります。国土交通省の資料によれば、地球上に存在する水の量はおよそ14億立方キロメートル、そのうちの約97.5%が海水等で、淡水は約2.5%。この淡水の7割近くが南極・北極の氷河や万年雪、残りの3割は地下水で、河川や湖沼など利用しやすい淡水の量は地上の淡水のわずか0.3%と言われ、これを世界人口で割ると、1人当たり200トンという計算になるそうです。国連が1997年に行った世界淡水アセスメントによれば、世界の約3分の1の人々はすべての水需要を満たすのが不可能な状況下にある国で暮らしていると報告し、2025年までにはそれが3分の2へと倍増するだろうと警告しています。
 日本の降水量は世界平均の約2倍、夏の渇水さえ乗り切れば何とかなると、多くの日本人は思いがちですが、食糧自給率が40%以下の我が国は、米、麦類、豆類、肉類、綿製品など、栽培、生育、精製に約420億立方メートルの水量を必要とする食糧品などを輸入に頼っている。つまり、間接的に水を輸入しているということにもなるわけで、これは平成16年度、日本国内で使用された生活用水、工業用水を足した量、約283億立方メートルをはるかに超える膨大な量で、もしすべて国内自給をしなければならない事態になるとしたら、我が国における水危機の到来は、近未来の世界の人口推計からも決してフィクションの世界ではありません。
 本題に入りますが、水の問題は生命に直結する問題でもあるだけに、本市でも地震や災害など不測の事態、世界的な動きなども念頭に、恒久的・安定的に安全でおいしい水が提供できるよう、超長期的な視野を持って市民への水供給のあり方を考えていかなければなりません。本市の水道事業では、昭和29年9月の供給開始以来、深井戸の地下水源を中心とする安全でおいしい水が、しかも安価で提供されてきました。それは、身近な自治体直結、公営企業体という利点を生かしてのさまざまな企業努力、営業努力で維持されてきたものと理解しています。
 一方、安定的な水源の確保、水道料金の都内均一化を目指し、東京都が進めていた多摩地区水道事業の都営一元化計画に関しては、平成12年9月、地方分権一括法の実施にかんがみて、水道事業は可能な限り本市の事業として経営すべきものと考えるが、東京都の御高配もあるので、本市が長期計画に基づいて鋭意推進している配水管網の主要な整備が完了となる段階において、統合の必要性も含めて検討したいとお答えしたと、当時の土屋市長が答弁されたように、本市の水道事業の今後のあり方については、管網整備を推進しながらしばらく様子を見るというスタンスをとってきたと認識しています。
 そのような中、ことし3月、長期計画に基づきつつ、本市の水道事業にかかわる各種施設の老朽化や厚生労働省等が示す指針への対応、耐震力の強化などを目的に浄水場施設再整備計画、取水施設更新計画、管路施設整備計画の3計画が報告されました。それによると、平成32年度までの中期にかかわる事業費で約323億円、時期はこれと若干重なるようですが、その後の配水管路補助管の更新・整備の長期計画等も含めると約593億円という巨額の事業費を要する計画でした。さきの全員協議会での説明をお聞きした限りでは、財政計画、資金計画、受益者負担、料金体系の見直しなど、これらの事業を行うための裏づけがはっきりとせず、また費用対効果、すなわちこの計画を実行すれば耐震性は高まるものの、大震災や配水本管の不慮の大きな事故など、万一のときに安心できるバックアップシステムが確立できるとは言い切れず、それは武蔵野市という限られた市域では不可能に近いもの。しかし、市で水道事業を行っていく上においては、この計画以外の方法が難しいという状況であることもわかり、今の段階ではこの計画をやるべきだとも、やるべきではないとも言うことはできません。
 そこで、さきに出された水道事業関連施設更新3計画を踏まえ、本市の水道事業の現況と今後について伺っていきたいと思います。

 まず1点目として、全員協議会で説明のあった施設更新3計画についてですが、全員協議会でも財政計画等は市と打ち合わせていないとの副市長の答弁もあり、議論になっていましたが、その後、だれが、何を、どのように検討しているのかお答え願いたいと思います。

 2点目として、同計画をもし実行する場合、現段階で技術的なことも含めて課題はどのようなところにあると考えているのか。これも全員協議会で若干の議論はありましたが、ここで改めて課題を整理してお示しいただければと思います。

 3点目として、全員協議会での答弁で、同計画をすべてやったとしても危機管理上の危機回避はできない。1本レールの施設が新しくなるだけで、壊れたら本当に水がない。2系統持っていなければだめと明言されていました。近年の新たな課題、平成18年6月の配水本管漏水事故の例を引くまでもなく、極力早期に本市の将来の水道事業のあり方、方向性を示さなければならない状況に至っているのではないかと思います。自然災害は、明日来るかもしれない、100年後かもしれない。いずれにしても、緊急時のバックアップなど、さまざまな可能性を早急に模索することが求められていると思いますが、どのように対処・対応しているのか、あるいはしていかれるのかお答えいただきたいと思います。

 4点目として、平成12年の都への一元化に関する回答以降の本市の水道事業を取り巻く状況の変化、例えばそのときの回答の中にもあった本市の配水管網の整備についての見解や、多摩地区に給水する都の浄水場の高度浄水処理システムの進捗状況など、この間に整備や改善が進んだ状況などが幾つかあると思うのですが、その辺の武蔵野市を取り巻く状況変化についてどのような御見解をお持ちなのか、なるべくわかりやすく具体的にお答え願いたいと思います。

▽ 事業用建物耐震助成制度の適用について

 次に、事業用建物耐震助成制度の適用対象の考え方について伺います。
 平成16年10月の新潟県中越地震は、2次被害が注目された地震でもありました。官公庁職員を語った救出詐欺、掲示板での振り込め詐欺、義援金詐欺、ボランティア詐欺など、新手の犯罪が多発すると同時に、いわゆるエコノミークラス症候群や、精神的あるいは身体的ストレスから来る心筋梗塞、脳梗塞、運動不足と、孤立により高齢者の心身が急速に衰える廃用性症候群など、特定の疾患が多数発症したこが報道されていました。これまで阪神・淡路大震災以来、全国的に住宅・住居の耐震対策は着実に進んできましたが、その後の震災の教訓をもとに、公共空間の一層の耐震性向上と同時に、公共だけでは手の届かない民間の公衆的な空間の耐震性や、そのあり方の重要性が指摘されるようになり、全国各地で、例えば理容や飲食、浴場や温泉、旅館等々の組合が自治体等と協定を結び、被災者の心身面での災害復旧を目指す動きが相次いでおります。
 国では、平成17年3月の福岡県西方沖地震など、その後の大地震の頻発や、今後発生が危惧される東海地震、首都圏直下型地震の切迫性の指摘などを受けて、中央防災会議や地震防災推進会議において、民間住宅や多数の者が利用する特定建築物の耐震化率を今後10年間で90%とすることを目標に、平成18年1月、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律を施行、本市でも今回、武蔵野市耐震改修促進計画が策定されました。今回、同計画でも記述されていますが、多くの人でにぎわう商業地の業務商業系建築物の耐震化は、建物所有者だけでなく、不特定多数の市民、来街者、まち全体の安全性に大きく寄与するという考え方で、商業地で昭和56年以前に建てられた事業用建物への耐震助成制度が創設され、既に今年度から制度が始まっております。
 私は、この制度はもう少し柔軟に考えるべきと思います。例えば商業地から離れていても、耐震改修促進法第6条の趣旨に基づき、政令で示しているような公共施設以外の公衆的な民間特定建築物の幾つかは、市が掲げる不特定多数の市民の安全性に大きく寄与するという助成制度の趣旨と合致するものと考えられ、耐震改修助成制度の適用対象に含めて、もっと積極的に実態に合わせて耐震改修促進に取り組むべきだと思っております。これは、今のままでのいわゆる要綱などの解釈によって柔軟に適用できるものだと思いますが、私が申し上げた趣旨を踏まえて、市長のこの制度についての御見解、今後の取り組みについてお聞かせ願いたいと思います。

 以上、よろしく御答弁のほどお願いいたします。


【邑上守正市長】  それでは、島崎議員の御質問にお答えしてまいります。
 世界の人口も2045年には90億人になるということでございますが、毎年8,000万人の人口がふえ続けております。現在、環境問題ということで非常に注目が集まっておりますけれども、同時にこれから先は、地球規模での食糧危機の問題あるいは水の問題、私もこれを大変課題だというふうに思っております。
 さて、最初の御質問では、本市の水道事業を取り巻く現況・課題等についてというお尋ねでございますが、既にさきの全員協議会では水道施設の更新3計画について、その経過を報告したところでございますが、実際にその後の検討がどうなっているかということでございます。
 まず、その財政計画につきましては、現在、水道部内部で作業を進めておりますが、その前提条件となります東京都からの分水料金が今後改定されることも予想されまして、まだ具体的な金額は未定であるということなど幾つかの課題がございますが、現在検討を進めているところでございます。また、並行して、これは水道部だけの問題ではございませんので、副市長をトップに、技監、関係部長をメンバーとする検討会議を発足させ、市全体における水道施設の再整備計画のあり方の検討もスタートしております。
 次に、それぞれの計画に関する課題というお尋ねでございますが、まずは浄水場再整備計画。現施設を動かしながらの改築というのが極めて難しい状況になっております。既設の施設を取り壊しながら、順次再構築をするというような考え方でございますので、基本的にはバックアップ機能が現時点では十分に確保できていないという問題がございます。それから同時に、現施設の中でやりますものですから、工期が大変長期になってくるといったような課題もございます。その対策としましては、東京都からの入水を拡大するなどの必要がございますが、その辺の可能性について、まだ東京都とは調整を始めてございません。もしそうなれば、東京都からの入水ということで、入水費がかなり増大してくるという課題もあります。

 2つ目に、管路再整備計画でございますが、現在は配水本管が1系統でございますので、配水を停止して施工することはできない。つまり、迂回路をつくって、それでないとなかなか作業が進まないということでございます。その新たなルートにつきましてはいろいろ想定してございますが、現在想定している場所につきましては地下埋設物なども大変ふくそうしておりまして、また交通量も多い場所でございますので、施工が大変難しい場所だというような課題もございます。取水施設の更新計画につきましては、これは東京都の方針もございますが、環境政策上からは新たな井戸というものの設置が極めて難しい状況下にございます。また、掘りかえ工事に際しましても代替の敷地の確保も極めて難しい、このような課題を現在時点では抱えている状況でございます。

 次に、全員協議会の中での答弁で、計画を進めていったとしても、危機管理上の危機回避は根本的にはできないといったような発言をしてまいりましたが、私どもも危機回避というものを危機管理上、きちんと対応していかなければいけないという認識を持ってございます。平成12年の東京都からの都営一元化に関する確認に対しましては、市としては、本市が長期計画に基づいて鋭意推進している配水管網等の主要な整備が完了となる段階において、統合の必要性も含めて検討したいと考えておりますというような回答をしているわけでございまして、その言葉のとおり、配水管網等の整備を現在では進めているところでございます。以来、石綿セメント管更新事業あるいは鋳鉄管更新事業などを着実に進めてきた経過もございます。さらに、取水施設につきましても、非常発電装置の設置の整備など、可能な対応を行ってまいりました。しかしながら、災害時における対応など、危機管理上の課題解決に向けて都営水道との連携を視野に入れて、今後の経営のあり方の検討も進めていく予定としております。

 次に、本市の水道事業を取り巻く状況の変化ということの中で、今までに取り組んでまいりましたが、本市の配水網の整備ということを若干整理してお話ししますと、石綿セメント管の更新事業というのは、平成6年度から平成15年度まで4万6,000メートルの管を整備して完了しております。鋳鉄管更新事業につきましては、平成12年度より8年更新計画ということで、平成19年度までに2万7,000メートルを整備することができております。さらに、配水補助管更新事業につきましては、口径50ミリメートル以下のものにつきまして、平成12年から平成19年までに1万9,000メートルの距離を更新することができております。配水管の新設工事につきましては、同じく平成12年から平成19年までに1万2,000メートルの工事をしておるわけでございます。あとは、マンガン量を抑制するような工事、濁り水の対策でございますが、そういうものにつきましてもろ過装置等を設置してきたわけでございます。
 さらに、周囲の状況を見ますと、その他の状況としましては、高度浄水処理システムの進捗というのがされておりまして、これは朝霞浄水場高度浄水処理施設でございますが、平成16年11月には通水を開始しております。さらに、平成20年から第2期工事を開始する予定ということでございますが、現在、朝霞浄水場の高度処理水の率というのは70から75%ということでございます。さらに、多摩地域の都営一元化、この間、各市と都で取り組んでこられましたが、例えば昭和52年に青梅市、昭和57年に立川市、平成になりまして、平成12年に調布市、そして平成14年に三鷹市という一連の取り組みが進んでおります。それぞれ取り組まれた自治体におかれましては、現在では一元化に伴う事務委託を受けておりますけれども、それも平成23年度で解消して、平成24年度からはそれぞれの市と東京都との完全な都営一元化となるというような予定となっております。
 武蔵野市としましては、施工できる水道施設等の整備は計画的に、かつ着実に実施していきたいというふうに考えておりますが、今後はさきのさまざまな課題もございますので、都営水道との連携も視野に入れて経営のあり方について検討を進めていきたいというふうに考えております。

 次に、事業用建物の耐震助成制度の適用対象ということでございますが、私どものまちも安心・安全のまちにより進めていきたいということから、耐震への取り組みという形では極めて多くの制度等に取り組んできたのではないかなというふうに思っております。御指摘の件に関しましては、まずは安全・賑わいのまちづくり促進型耐震助成というものを、今年度の方針として安全・にぎわい・リニューアルプログラムの中で、固定資産税の軽減措置と工事資金借り入れに伴う信用保証料補助との3点セットで打ち出したところであります。また、御指摘のとおり、このたび策定しました耐震改修促進計画では、特に商業地における事業用建築物の耐震化を重点的な施策の一つに掲げておりまして、今年度、その制度をスタートしたところでございます。
 この助成制度の趣旨というのは、不特定多数の人が集まる商業地において事業用建物の耐震化に対して助成をすることによりまして、その地域の面的な耐震安全性を確保していくということを主眼としているわけでございます。建物の用途などによります公共公益性の高さ、あるいは商業地との位置関係などにより、助成対象の要件から多少外れていたとしても、制度趣旨に合致するものについては、個別のケースに応じて一定程度の柔軟な制度運用をするのは、これはやぶさかでないというふうに考えております。一方、建物用途に公共公益性があったとしても、例えば住宅街の真ん中にあるような場合は、この制度趣旨にはなかなかなじまないのかなというふうに思っておりますが、別の手法で耐震化を後押しすべきだというふうに考えておりますので、具体的にはどのような支援の仕組みが可能なのかにつきましては検討課題としたいというふうに考えております。
 今後は、単に財政的な支援だけではなくて、技術的な支援なども含めて、幅広い支援メニューを検討してまいりたいと、このように考えております。


【島崎義司】  再質問というわけじゃないですけれども、要望を申し上げておきますと、やはり水道事業というのは、とにかく危機管理、これが最重要であると。そしてまた、子や孫の世代にわたって安定供給され、その水質も高度なものであること。そしてまた、料金がある程度、一定程度抑えられる。こういった4つの要素がどれが欠けてもいけないというふうに思っております。
 市がせんだって示した3計画について、市でやろうと思えば、それは無理すればできないことはない。しかし、将来、50年、100年先を考えると今、決断しなければいけない。市長からその辺のかなり前向きな御答弁もありましたので、これ以上申し上げることもないんですが、そういう意味では危機管理上ということを考えると、早急に答えを出していくことが必要なんじゃないか。しっかりと市民に説明できる検討を行って、その情報をしっかりと開示した上で、決断すべきときは早目に決断する、これが必要なんじゃないかと思いますので、経営のあり方をぜひしっかりと検討して市民に対してそういった情報を開示して、早期に決断することを要望したいというふうに思っております。
 それから、耐震改修助成についても、かなり前向きな御答弁をいただきました。この助成要綱に限らず、別の方法でも住宅街についての公衆・公益的な民間の建物については行っていくということで理解させていただきました。これも地震はあした起こるかもしれないし、30年後かもしれないけれども、早期に備えておかなければいけないというふうに思っておりますので、その辺もぜひ早急に御検討をお願いしたいというふうに思います。

 

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