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討論

 

平成14年 6月27日 第2回定例会本会議より

「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」への反対討論

 

提出された「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」

 現在国会審議中の武力攻撃事態法案、安全保障会議設置法改正案、自衛隊法改正案の有事法制関連三法案は、自衛隊の軍事行動を優先し国民を強制的に有事体制に動員するものです。特に、武力攻撃を受ける「恐れ」や「予測」を武力攻撃事態と規定し、そのような事態でも自衛隊の先制武力行使を可能とする内容は、国家の交戦権を否定した日本国憲法第9条に違反することが明白です。
 法案は、NHK、電力、ガス事業者などの指定公共機関、医療、運輸、土木、建築などの民間企業及びそれらの業務に従事する国民に協力を義務づけ、有事の際には国民の自由や権利を大幅に制限することが可能であるとの立場から、報道や国民の集会を規制対象にするものです。もし、国民が政府による従事命令や物資保管命令を拒否すれば、6カ月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑に処すとの条項も盛り込まれています。
 また地方公共団体に対しては、責務、役割分担、協力が規定され、首相権限による指示や指示に従わない場合の政府による強制執行を可能とするなど、地方自治を侵害する点でも重大です。
 このような内容をもつ有事法制関連三法案は、日本国憲法の平和、国民主権、基本的人権、地方自治などの基本原則に抵触することが明らかであり、多くの国民から不安、懸念、批判の声が上がるのも当然です。
 日本国政府には、憲法の平和主義を厳守し、積極的な外交努力により紛争を未然に防止する努力が何よりも求められています。
 よって武蔵野市議会は、有事法制関連三法案の撤回を強く求めます。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成14年 7 月11日

武 蔵 野 市 議 会 

 

「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」への反対討論

島崎義司

 自由民主クラブを代表して、議員提出議案「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」への反対討論をいたします。

 まず、有事法制の必要性について申し上げたいと思います。
 平時には、わが国は、憲法が定めた三権分立と代議制民主主義の原則に基づいて、さまざまな段階の議論を経て、国家としての具体的な方針を決定し、執行していきます。
 しかし有事には、外国の軍事集団による攻撃が現実にわが国に向けられている以上、悠長に議論して対応を決めていたのでは間に合いません。その間に国の独立が奪われ、私たちの人権も蹂躙されてしまいます。
 したがって、有事には、国家が迅速に対応できるよう、権力を例外的に集中し、速やかに国家の意思を決定し、自衛隊等の機関が道路交通法等の平時の規制を受けずに行動しながら外敵を排除できる仕組みが必要なのです。

 日本に対する武力攻撃にどう対処するかにつては、現在の自衛隊法にも規定は存在しています。しかし、事態に際しての意思決定や対処の実施にかかるシステム全体についての規定はありません。
 つまり、わが国の現行憲法とその下位規範たる法律には、有事の際、政府や自衛隊などがおこなう活動に根拠を与える法令、行動規範となるべき規定がないのです。 その意味では、今回提出された有事関連三法案は、内容的にはまだまだ充実・明確にさせるべき課題もあるようですが、有事対応の第一歩としては、画期的な意味を持つものなのです。
 現状では、有事、緊急の事態が発生した場合は、必要ある措置をとるためには“違法”の措置が生じることになります。これを放置しておくことは、法治国家の否定と言わざるを得ません。

 有事法制の目的とするところは、非日常的な防衛を必要とする事態を想定して、合法性の枠内でそれに対処することです。
 それは当然、平時とは異なる法的統制が敷かれ、より広範な権限が国家機関に付与されるものですが、それらはあくまでも、国土と、国民の生命・財産を保全することが目的であり、その執行も、迅速かつ的確に、法のもとに厳格に、立法、行政、司法を規律するものでなければなりません。
 逆にいえば、有事法制がないという状態は、総理大臣が超法規的に、無限定な権限を行使するということつながります。
 有事の際に、国民の生命・財産を守るために国家が法の下に必要ある措置をとることを認めつつ、同時に立憲主義の見地から事後的に責任を問いうる法制が必要なのは、世界の主要なほぼ全ての民主主義国家が有事法制を整えていることをみても、その整備は、法治主義の基本中の基本、当然すぎるほど当然のことといえます。
 むしろ、近隣には、共産党一党支配で核兵器を所有する巨大軍事国家「中国」や、日本人拉致事件、重武装不審船による領海侵犯などの頻発。わが国の頭越しにミサイル発射実験をするという常識では考えられない奇怪な行動を繰り返す「北朝鮮」の存在など、東アジアの不安定な現状を考えると、法整備は喫緊の課題といえます。

 さて、本意見書が危惧している「有事法による平時の法律の制限」についてですが、一般法に対して特別法が優越的地位をもつというのは、法の一般原理に照らしても認められているところであります。
 また、意見書は、「有事法によって国民の自由や権利が侵害され、地方公共団体にも協力が規定されているのは地方自治を侵害するもの」とも非難していますが、個人の自由と権利について言えば、日本国憲法第12条では、自由・権利の保持の責任と、その濫用の禁止をうたっており、条文では、-“この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。”-とし、第13条では、個人の尊重と公共の福祉について条文で、-すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、“公共の福祉に反しない限り”、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。-としております。
 つまり、公共の福祉の要請に基づく場合には、個人の自由や権利も絶対無制限なものではなく、“必要最小限の範囲内で” 制約をうけるこということは憲法上許されていることであり、法治国家である限り、その行使形態が刑法等の諸法律によって規制されることは、“平時にあっても当然ありうる”ことなのであります。
 ましてや有事の際、地方公共団体が住民の安全を守るために一定の制限を受け入れ、国に協力することは、自治体としての責任とも言うべきもので、問題は制限の度合いであって、これは程度の問題であると言えます。国会では、そこのところを現実に即して十分に議論してもらいたいと思います。
 さらに、本意見書において、世界の常識からすると決定的に認識が欠如しているといわざるを得ないのは、「国家の交戦権を否定した日本国憲法第9条に違反する-云々-」という部分であります。
日本国憲法第9条はご承知の通り、-(1)日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、“国権の発動たる戦争”と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。(2)“前項の目的”を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。-というものであります。
 この条文は、文章としては成立していないような、非常にわかりにくいものではありますが、これはつまり、外国侵略のための戦力は持たないということであって、独立国としての自衛権自体までを放棄するというものではないことは、憲法解釈の常識であります。また、国連憲章51条でも、自衛権は「各国固有の権利」として認められている世界共通の権利であり、常識でもあります。

 このように、「日本国憲法」にも合致し、国民主権、基本的人権の大前提となる「国家主権」を守り、地方自治が最重視すべき住民の生命と財産を保全するための行動基準を法的に確立するなど、あらゆる観点から考えて、わが国に有事法制が整備されることは必要不可欠な事柄であり、先に起こった武装不審船による軍事攻撃などの例を見ても、これは、最重要かつ緊急の課題なのであります。
 意見書が言うような、「軍事行動優先法案だ」とか、「憲法違反だ」とか、「国民主権・基本的人権を奪うものだ」などという批判は、縷々申し上げてきた理由からも、まったくの的外れであり、むしろ、これらの法案によって武力攻撃の際に、国民のあらゆる権利が守られ、また、そうした事態を未然に防ぐための抑止力にもなるものなのであります。

 よって私たちは、本意見書のように、いたずらに国民の不安を煽りたて、国家の安全ということに関して、間違った認識を植えつけようとすることは、とうてい看過できない問題であると考え、この「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」には、反対するものであります。

 尚、この「有事法制関連三法案の撤回に関する意見書」には、私たち自由民主クラブ、市民クラブ、市議会公明、無所属1人の計13人が反対しましたが、民主市民ネット、共産党、市民の党、社民党などの賛成多数で、残念ながら1票差で採択されてしまいました。

 

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