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討論

 

平成14年10月 4日 第3回定例会本会議より

「北朝鮮による日本人拉致事件の真相の徹底解明を求める意見書」への賛成討論

 

提出された「北朝鮮による日本人拉致事件の真相の徹底解明を求める意見書」

 小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記との日朝首脳会談が平成14年9月17日に平壌で開催されました。北朝鮮はこれまで、「拉致問題は存在しない、拉致は日本側のでっち上げ」と主張し続けてきましたが、金総書記は「拉致は特殊機関の一部の妄動主義、英雄主義がやったことであり、責任者を処罰した」と語り、自らの責任に言及することは避けました。
日本政府が認定した8件11人よりも多い13人の拉致者が北朝鮮側から発表され、8人の死亡者、4人の生存者、不明者1人が公表されたときには、日本中が驚愕と慟哭に包まれました。生きて帰国をとの思いで25年間もひたすら待ち続けた家族にとっては、北朝鮮による一方的な発表だけではとうてい納得できるものではありません。
日本国内各地で起きた日本人拉致事件の徹底的究明はもとより、国家の主権が侵害され、国民が拉致されるという前代未聞の事件に対して、北朝鮮側の明確な謝罪と補償を求め、国交正常化交渉を進める上でも、全力をあげて問題の全容を解明し、国民にその真相等を知らせることを強く求めます。
日朝首脳会談において、これまで日本人拉致を否定し続けてきた北朝鮮側が拉致を認めて謝罪したことは大きな成果と言えます。しかし、拉致被害者たちが、いつどのように拉致され、どのように生活したのか、どんな仕事をしたのか。また、死亡されたとする被害者の死因は何か、死亡した場所はどこか、その遺骨はどうしたのか等の全容解明と警察庁が国際指名手配中の拉致実行犯の受け渡しを求めることが重要です。
よって、武蔵野市議会は、拉致問題に対して徹底的に真相究明すべきであると考え、政府に対し、下記事項を北朝鮮に対して強く求めることを要求します。



1.政府調査団による拉致の詳しい経過の解明を目的とした査察の実施
2.日本側監察医による死亡とされた被害者の死因の特定
3.遺体のDNA鑑定の実施
4.北朝鮮で生存が確認されたという拉致被害者の原状回復
5.被害者と家族に対する北朝鮮の謝罪と補償
今後の交渉にあたっては、北朝鮮の対応を慎重に見極め、冷静かつ厳格な態度で臨み、安易な妥協は決してすることなく、納得できる解決を望むものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成14年10月

武蔵野市議会議長 井 口 良 美

内閣総理大臣 
   外務大臣

 

「北朝鮮による日本人拉致事件の真相の徹底解明を求める意見書」への賛成討論

島崎義司

 去る9月17日、小泉純一郎内閣総理大臣が、初の日朝首脳会談に臨みました。
 多くのプレッシャーを撥ね退けながら、相手国において終始、毅然たる態度を貫き、世界各国のメディアを通じて、日本国民はもとより、全世界の人々が注視する中で、北朝鮮の最高指導者・金正日総書記自身に、「拉致事件は自国の特殊機関が行なったもの」という事実を認めさせたことは、大きな成果であったと同時に、世界的な視野から見ても大変重要な意味を持つこととなりました。

 まず、小泉総理大臣は、会談冒頭、金総書記に対して、拉致事件の実態と被害者全員の安否確認を断固として求め、そのほか、核・ミサイル問題、不審・工作船問題など、わが国の安全保障上重要な案件について国益を踏まえた発言をしました。また、アジアの安全保障と世界平和を確立する上で、北朝鮮が国際社会において良識ある行動をとることも強く求めました。

 その結果、その場で、拉致被害者については、「8人死亡、4人のみの生存」という一方的情報が北朝鮮側から伝えられた訳です。その際、金総書記が「拉致事件」に関して再発防止を約束したことは、これまでの北朝鮮の対応からは、にわかには信じきることはできませんが、それでも北朝鮮側に、全世界の見ている前で「拉致」を認め、「再発防止」を約束させた意味は極めて大きいといえます。

 その後、小泉総理は9月27日、拉致事件被害者の家族30人と総理官邸で面会し、「拉致問題の解決なしに北朝鮮との国交正常化はあり得ない。政府全体として、この問題解明に全精力を傾ける」と約束し、即刻、各分野の専門家からなる政府調査団を北朝鮮に派遣しました。

 政府調査団が、9月28日から10月1日にかけて行なった現地調査の報告は、10月2日、安倍官房副長官によりテレビ等での記者会見で発表されました。

 そこで明らかにされた被害者に関する安否情報の詳細では、「死亡」したとされる被害者の「死因」や「死亡場所」が、一応“特定”されてはおりましたが、ほとんどの「拉致被害・死亡者」の墓とされるものが、「洪水」で流失したとするなど、北朝鮮側の情報を基にしたこれら報告は、とうていそのまま鵜呑みにすることができない、信用するには全く至らない部分が数多くあるものだったということは、多くの日本人の共通した認識だろうと思います。

 政府は今後、誰もが納得できる客観的・科学的証明など、さらなる真相の究明に向けて、拉致という組織的国家犯罪を行なった「テロ実行国家」北朝鮮をさらに厳しく追及していくべきです。

 生存者に関する情報についても、調査団が本人と面会しており、部分的には信用できますが、新聞報道などによると調査団が面会して証言を取った生存者のひとりは、調査団とのやり取りの中で、子どもの話になったときに、娘が外国語大学に通っていることについて、「敬愛する将軍様のご配慮により、勉強させることができた。」と言ったり、大事な話ははぐらかすように話すなど、本当にそれが本人かどうかは客観的・科学的に確認できないもので、また、ほかの生存者も含めて、面会者は、みな一様に“固く”“無表情”だったとも伝えられております。これは、北朝鮮当局から相当なプレッシャーをかけられているか、あるいは洗脳できたものだけを北朝鮮側がそういう場に出してきたのでは、とも思わせるものでした。

 今回の調査では、北朝鮮は関係者の処罰にも言及し、責任者2人のうち1人を「死刑」、もう1人を「長期刑」に処したとし、実行犯の辛光洙・元服役囚らの関与については「法的仕組みができたら提供する」としておりますが、これも信用せよと言うほうが無理と言うもので、日本政府は、さらに詳しい拉致実行犯の調査を北朝鮮に求めるとともに、証拠隠滅等の恐れもあることなどから、辛・元服役囚らの実行犯や、拉致を計画した責任者の即時引き渡しを、北朝鮮政府に正式に強く要求していくべきです。

 さて、ここで、あらためて明らかになった「拉致」という国家テロの横行を許し、「テロ実行国家」北朝鮮に対して、我が国の歴代政権がとってきた「弱腰対応」や、何の解決の道にもつながらなかった人道援助という名のもとの「コメ支援」などは、批判されるだけではなく、これから徹底検証されていかなければなりません。

 しかし、さらに責任が問われなければならないのは、我が国政府の警察庁が認定していた拉致事件の存在を、「証拠がない」という理由でこれまで否定し続け、「テロ実行国家」北朝鮮側の情報のみを『盲目的』に信じ込み、政府の弱腰外交をさらに推し進めさせようとして、あの手この手で政府に働きかけ続けてきた、社民党・共産党・民主党の国会議員や、それに引きずられた政府部内の親北朝鮮派の官僚、メディアなどの責任もさらに重大であると言えます。

 小泉訪朝後、民主党の鳩山由紀夫代表は「国交正常化交渉は時期尚早」と批判をし、「拉致問題は追及不十分である」と小泉総理を非難していましたが、鳩山氏は以前、前橋市内での講演では、「(北朝鮮が)困っている時に、拉致事件などの問題が解決しないと援助できないというのでは、彼ら(北朝鮮)の気持ちを和らげることができないのではないか」と述べるなど、「拉致問題」よりも「コメ支援」に熱心でした。

 また、平成12年10月の国会党首討論では、当時の共産党の不破哲三委員長が「政府は(拉致の)確たる証拠を示していない」「日本の捜査の実力では袋小路に陥る心配がある」と述べ、拉致家族や警察当局の努力をコケにするような質問をしていたのです。

 日朝間のパイプ役を自任し、朝鮮労働党とはお互いに「友党」と呼び合って憚らなかった社民党の土井たか子党首は、小泉訪朝前までは拉致事件について「これは容疑であり、事実かどうかはわからない」と言う現状認識を崩していませんでしたが、北朝鮮が拉致を認めたことを受けて行なわれた記者会見では「これまで朝鮮労働党との交流で(拉致問題を)聞いてきたが、『事実はない』ということだった。事実が明らかにされ強い衝撃を受けている」と、語らざるを得ませんでした。しかし、社民党のホームページでは、いまだに「拉致は創作」という、「月間社会民主」平成9年7月号の掲載を続けております。

 さらに、朝日新聞なども小泉訪朝前までは、社説などで「日朝の国交正常化を急げ。」と繰り返し論ずるなど、「拉致事件」よりも「国交正常化」に重きを置き、わが国の国家主権と国民の人権を軽んずる報道を続けて、世論をミスリードしてきました。

 さて、武蔵野市議会では、今年3月に提出した「北朝鮮に拉致された8件11人の真相解明を求める決議」の採択のときに、議場を“こそこそ”と抜け出した議員がおりました。その“こそこそ”と抜け出した議員の人たちの名前については、「武士のなさけ」という言葉もあり、あえてここでは申し上げません。

 しかし、その決議の採択を諮る討論の際、「市民の党」はその討論の中で、「『北朝鮮に拉致された8件11人に対して』というふうに断定的な表現が随所に見受けられます。しかし、事実はいまだ明確かつ客観的な証拠が示されているわけではございませんし、朝鮮民主主義人民共和国へ何らかの形で日本人が連れ去られたという見解は、現時点では皆さんが共有できるという段階には至っていないと私は考えております」という、誰がどう見ても内容的には明らかな「反対討論」をして議場を出て行くという不可解な行動を見せました。この「市民の党」の発した言葉は、明らかに「テロ実行国家」北朝鮮の側にたったものであり、私はあらゆる意味でこの発言を注目せざるをえませんでした。

 思い返せば、同討論を行なった「市民の党」の新井くみこ議員は、平成12年9月7日の一般質問の中で、本市で使用されている小学3年生の社会科の教科書について、「日本が他国に対して、してきた行動については触れられていません。」とし、「私は、子どもに対して、図書館で資料を借りてきて、戦争のころ日本がしたことについても勉強するように夏休みの間に言いました。子どもが借りてきた本の中には―中略―私が知らなかったようなことまで含めて解説された資料が見つかりました。こうした自分たちの国の歴史も踏まえて、子どもたちにきちんと教えておくことが非常に重要だと痛感しています。」と述べ、そのあとの段で、「先日、私は機会がありまして、北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国への親善訪朝団の中に同行して、かの地を訪れる機会がありまして、そこでの『社会勉強』をもとに、つとに、痛切にそのことを感じたわけです。」という、驚くべき事実をいともあっさりと言ってのけているのです。

 驚くべき事実というのは、市民の党所属の「地方議員」が、『国交のない北朝鮮』に、『親善訪朝団』として、『社会勉強』、いいかえれば『テロ実行国家・北朝鮮当局による思想教育』を受けに行き、その成果を、『日本人』ではなく、「『テロ実行国家』北朝鮮の立場に立った、歴史観・戦争観を子どもたちに教育をせよ」と、武蔵野市議会で教育長に迫ることで、いかんなく発揮したことです。

 今年3月の「拉致の真相解明決議」への対応と重ね合わせて考えてみると、「市民の党」と「テロ実行国家」北朝鮮との、不気味とも思えるつながりを感じずにいられないのは、ひとり私だけではないと思います。

 そもそも、こういった間違った歴史観、戦争観、空想的平和主義ともいうべき感覚が戦後日本にもたらしたつけが、これまでの「拉致事件」未解明につながってきたことも認識しておくべきなのです。

 一時期、日本の左翼・革命勢力が信じた「地上の楽園」北朝鮮伝説は、飢餓の悲惨な状況を伝える世界のメディアを見るまでもなく、すでに遥か昔に完全に瓦解しておりました。
 この近くにもいるようですが、それでも夢見ていた「おとぎの国」のお伽噺は、“うそ”という最終章をもって終わったのです。

 今後は、政府が北朝鮮側に対し、まずは「拉致事件」について、最高指導者である金総書記自身の口からの明確な謝罪と、補償を求め、警察庁が国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際指名手配している「拉致実行犯」の身柄の即時引き渡しと、「拉致被害者全員」の安否も客観的に特定できる科学的証拠を示すことを強力に要求することを、武蔵野市議会としても、改めて強く求めます。

 なお、3月の「決議」のときのように“こそこそ”と抜け出す議員が、今回はどうやらいないようですが、今回、本意見書が“本当の全会一致”での「意見書」となることを心からうれしく思いつつ、本意見書への賛成討論といたします。

 

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