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討論

 

平成15年 3月28日 第1回定例会本会議より

「イラクへの軍事行動即時中止と、国連による平和的解決に関する意見書」
への反対討論

 

議員提出された「イラクへの軍事行動即時中止と、国連による平和的解決に関する意見書」

 アメリカ、イギリスなどは、3月20日、イラクへの軍事行動を開始し、早くも双方に民間人を含む多くの死傷者が出ています。
 今回のアメリカ、イギリスなどによる軍事行動は、国連憲章第51条が「武力攻撃が発生した場合」にのみ限定して許容している国家による自衛権の発動ではありません。自国への武力攻撃を受けてもいない国が他国に対し勝手に武力行使を行うことは、国連憲章第2条第4項が全面的に禁じている先制武力攻撃です。将来攻撃される可能性があるとの一方的な判断を理由に他国に対して先制攻撃を行うなどということは、国際法上も到底正当化できるものではありません。
 また、日本国政府がこのような軍事力の行使を支持することは、武力行使を「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と誓った日本国憲法第9条の精神と全く相入れないものであり、従来政府が掲げていた国連中心主義の外交方針からも大きく逸脱することは明らかです。
 我が国をはじめ、世界各国で連日のように行われている大規模な反戦運動が、アメリカ、イギリスなどによる国際法や国連のルールを無視した暴挙を厳しく批判し、イラクへの軍事行動の即刻の中止を強く求めているのも当然です。
 アメリカ、イギリスなどは、直ちにイラクへの軍事行動を中止し、国連による平和的解決への道に立ち戻るべきです。また、日本国政府も、アメリカ、イギリスなどによる軍事行動への支持を撤回し、国連憲章や日本国憲法の精神に基づいた、事態の平和的解決に向けた外交努力に全力を挙げるべきです。
 よって、武蔵野市議会は、政府にアメリカ、イギリスなどによる軍事行動への支持を撤回し、アメリカ、イギリスなどが軍事行動を即時停止するよう国際社会に働きかけることと、国連による事態の平和的解決の実現に向けた外交努力を全力を挙げて行うことを強く求めるものです。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
 平成15年3月  日

武蔵野市議会議長 井 口 良 美

内閣総理大臣
   外務大臣  あて

 

「イラクへの軍事行動即時中止と、国連による平和的解決に関する意見書」への反対討論

島崎義司

 3月20日、小泉純一郎首相がアメリカなどのイラクに対する武力行使への支持を表明したのは、これまで国連を中心とする国際社会が再三にわたりイラクに対して武装解除を求めてきたにもかかわらず、応じてこなかったイラク側の対応に問題の根本的要因があったからにほかなりません。

 すなわち、1990年、突如としてイラクがクウェートに侵攻したことにさかのぼる、この問題については、国連安保理決議678によって、国際社会が一致してイラクの他国侵略の野望を抑え込み、1991年には国連安保理決議687によって国連監視のもと、イラクが大量破壊兵器射程150キロ以上のミサイル廃棄を無条件に受け入れることを条件に湾岸戦争は停戦となったわけですが、1998年、イラクが国連の査察団への協力を拒んだため、決議687違反として米英が決議678に基づいてイラクを空爆、各国はこれを支持いたしました。

 これによって、その後、国連による査察は続けられることになりましたが、査察団に対するイラクの非協力的な態度は一向に改まりませんでした。
 これに対して、国連安保理は、2002年11月、決議1441を採択して、イラクに武装解除への最後の機会を与えましたが、イラクの査察団に対する協力は極めて限定的なものにとどまり、その間、イラクは大量破壊兵器、生物化学兵器の隠匿を進めていた疑いが極めて濃厚だとも報道されていたものでした。

 これまで我が国政府は、イラクの非協力的な態度が改まらないことから、国際社会が一致結束してイラクに対して武装解除を求める意思を示す新たな決議が望ましいとして、小泉総理みずから各国首脳と会談し、イラクとその周辺国に対しても総理特使を派遣して武装解除、平和的解決への道を模索してきました。
 しかし、残念ながら、イラクは12年間にわたって国連安保理決議に違反し続けてきたことは、御承知のとおりであります。

 大量破壊兵器の脅威については、3月20日に開かれた衆議院本会議において、元外務大臣の高村正彦衆議院議員が質問の中で、「くしくも8年前のきょう、地下鉄サリン事件が起こったが、イラクが保有すると言われているVXガス3.9トン以上というのは、同事件と同等の事件を10万回起こせる量だと言われている。」と述べ、イラクの化学兵器保有を強く示唆し、独裁国家がこれらの兵器を持つことが国際社会にとってはかり知れない脅威であることを強調していたことからも、いかに危険なものであるかがわかります。

 このイラクの現状を放置しておくことは許されないという認識では、国際社会は一致していたもので、国際社会が協調して対処すべきと日本が果たし得る最大の努力をしてきた中で、米英の武力行使に至ってしまったことは、大変残念なことではありますが、政府が米英の対応を理解し、支持することは、これまでのイラク側のたび重なる国連決議違反についての態度を全く改める気配すら見せないことからも、やむを得ないものと言えます。

 また、我が国が米英の対応を支持する背景として無視できない要因は、我が国を取り巻くアジア地域での大量破壊兵器の拡散問題とも決して無縁ではありませんという総理談話にもあらわれています。
 つまり、今回の問題が日本の安全保障と密接な関係があるということです。総理は、国会報告の中でも、「米国は我が国のかけがえのない同盟国であり、我が国の平和と安全を守るための貴重な抑止力を提供している。我が国を取り巻くアジア地域の平和と安全の確保にとっても、米国の役割は不可欠だ。」として、大量破壊兵器が危険な独裁者の手に渡り、世界が脅威にさらされることを防止するために大きな犠牲を払おうとしている米国への支持と理解を求めました。

 我が国は、旧ソ連の脅威が消滅した欧州各国とは異なり、隣国に核兵器まで保有しているとも米国専門機関などの報告で言われている北朝鮮があります。北朝鮮、イラクに共通する大量破壊兵器の開発、配備に対して、国際社会が断固たる対応をとらなければ、我が国にとって直接の大きな脅威となるのであり、今回の意見書ではその辺の日本を取り巻く国際情勢に全く触れられておらず、日本の安全確保という意味から、このようなその後どうするという見通しのない無責任な主張には、とても同調できるものではありません。

 国際協調と日米同盟、我が国外交の基軸であるこの2つの命題を両立させるため、3月20日を挟んだ数日間、総理が苦悩の日々を送ったことは想像にかたくありません。
 あくまでも実効性のある大量破壊兵器の廃棄を主張し、自国民をテロの脅威から守ろうとするアメリカとイギリス、米国主導の国際秩序構築を牽制するフランスやロシア、それぞれの国益がぶつかり合う国際社会の中で、苦悩した末に我が国の平和と安全を守るために小泉純一郎首相が下した決断を、私たちは理解し、支持したいと思います。

 なお、私たちは、戦争そのものを支持するものではありません。しかし、これまで述べてきたような複合的な状況判断から始まった戦闘については、民間人が巻き込まれるような誤爆などが起きないよう米英軍も努力すべきで、早期の戦闘終結を心から祈るばかりであります。

 日本国民、すなわち市民の安全、生命、財産を守る責任という意味からも、本意見書のような一方的米英悪玉論、現実の国際情勢無視の空想的平和論には、とても同調できるものではなく、よって本意見書には反対いたします。

 

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