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討論

 

平成17年12月19日 第4回定例会本会議より

保育所運営費、学童クラブ運営費等都加算の存続と
子育て支援費拡充を求める意見書への反対討論

 

民主党や共産党などの議員により提出された
「保育所運営費、学童クラブ運営費等都加算の存続と子育て支援費拡充を求める意見書」

 東京都は、市長会に対し認可保育所運営費の都加算補助(零歳児保育特別  対策事業、11時間開所保育対策事業、障害児保育事業、一般保育所対策事業、延長保育事業、産休等代替職員費補助事業)、及び学童クラブ運営費の都加算補助に加え、子育てひろば事業(A型)等の13事業を廃止し、子育て推進交付金(仮称)に「再構築」することを提案しており都福祉保健局の来年度予算要求にもこの内容が盛り込まれています。
 しかし、都の認可保育所補助は、あまりにも不十分な国基準を補い、東京都に望ましい保育水準を確保するために現場の要望に基づき長年にわたって積み上げられてきたものにほかなりません。学童クラブの都加算補助も、不十分な国の基準を補い、東京都に望ましい学童クラブの水準を確保するために都が必要性を認めて実施してきたものです。
 市町村に対する都の提案では、新たに創設される交付金の総額は、13事業の平成16年度決算、または平成17年度予算の総額に据え置くとされており、保育所と学童クラブ入所児童の規模増は考慮するというものの、経費のかかる零歳児保育や延長保育、障害児保育、さらには、すべての家庭を対象とした子育て支援事業を伸ばせば伸ばすほど、市町村は財源不足に陥ることが避けられません。その上、積算の根拠も目的も曖昧な交付金では、都の財政状況や政策判断で削減・縮小が可能となってしまいます。
 都は、認可保育所及び学童クラブ運営費加算の見直しではなく、すべての家庭に対する子育て支援をも充実するために、独自の新たな財源措置を行うことが必要です。
 よって、本市議会は、貴職に対し以下の事項を強く要望します。

1.認可保育所運営費、学童クラブ運営費等の都加算対象経費を維持すること。
2.子育て支援費をさらに拡充すること。

 

「保育所運営費・学童クラブ運営費等都加算の存続と
子育て支援費拡充を求める意見書」への反対討論

島崎義司

 自由民主クラブを代表して、本意見書への反対討論をいたします。

 明治維新以来の中央集権型行政システムは、限られた資源を中央に集中し、これを重点的・効率的に活用することで、わが国の急速な近代化や経済発展に一定の役割を果たしてきました。

 しかし、高度経済成長によって世界有数の経済力を有する先進国となったわが国は、国民のニーズが多様化し、これに伴う新たな状況や課題、すなわち、少子・超高齢化社会への対応や、個性ある地域社会の形成などに対して、従来の全国画一的な中央集権型行政システムでは、的確に対応することが困難になってきていました。

 そこで出てきたのが、「中央省庁主導から地域主導の行政システムへ。」「地域のことは地域で決める。」、すなわち、国の持っている権限や財源を都道府県や市町村に移し、住民と自治体の選択と責任により、地方自治体が主体的に物事を決め、地域の特色を生かした活力ある豊かな地域社会づくりを進めるという「地方分権」の考え方です。

 地方分権は、平成7年の「地方分権推進法」制定でその方向性が決定付けられ、平成10年5月と11年3月の2次にわたって「地方分権推進計画」が策定され、平成11年7月には、それまでにあった約1,700の法律の約3分の1にあたる475本の法律改正を、「地方分権一括法」正式には「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」として一括方式で国会で成立、平成12年4月より同法が施行されて、地方分権の流れは本格的に始まりました。

 しかし、地方分権一括法がめざす、国と地方自治体の役割分担の原則、機関委任事務制度の廃止、国の関与の見直し、権限移譲の推進、必置規制の見直し、都道府県と市町村の関係の改革、地方自治体の行政体制の整備・確立などについて、自治体側からすると、権限面での改革は進んでいるものの、財源面では多くの課題が指摘されていました。

 この課題解決のために取り組まれているのが、現在、小泉内閣が進めている「三位一体改革」で、これは、地方の権限と責任を大幅に拡大するために「国庫補助負担金の改革」、「地方交付税の改革」、「税源移譲を含む税源配分の見直し」の3つを同時に進めるものです。

 これを実行することによって、地方分権の推進と同時に、地方行革の徹底、すなわち、地方歳出のムダを廃除し、地方財政の健全化を進め、その際、民間給与水準を上回る地方公務員給与の見直しや、事業などについても民間でできることは民間にまかせていくという流れを推進していくためのものでもあります。

 今回、東京都が提案している、子育て関連事業に対する都加算補助金の交付金化、「仮称・子育て推進交付金」の創設は、国が、今般の三位一体改革の趣旨を踏まえて、それまでの、対象者や使途が細かく限定されすぎて柔軟性を欠いていた子育て関連事業への補助制度を廃止し、「市町村行動計画」に基づいて地域の特性や創意工夫を活かした取り組みを推進するために、平成17年度より新たに創設した次世代育成支援対策交付金、いわゆる「ソフト交付金」化に伴うもので、これまで都単独で行ってきた加算補助の算定基礎がなくなったことが直接の背景ですが、これに先立つ平成16年5月に東京都児童福祉審議会が出した意見具申では、多様化する都市型保育ニーズに対応するためには、硬直的・画一的な保育制度を見直し、必要な人がいつでも適正な負担で、質の高い保育サービスを選択し、利用できる、新たなシステムを構築する必要があること、多様な勤務形態の人や在宅で子育てをしている人は、保育サービスを必要としてもなかなか認可保育所を利用できないこと、現状では「保育サービス=認可保育所」という考え方が根強く、公費投入、公的関与の面で、認可保育所と他の保育サービスとの間に大きな差があることなどの現状を挙げ、子育て関連施策の根本的な改革を提言しており、現場での、多様な保育ニーズへの対応を、市町村の自由な裁量で地域の実情に合わせて柔軟に施策展開ができるよう、また、足りざる保育サービスを都として政策誘導的に促す狙いも持っているのが、今回の都加算補助金の交付金化で、私たちはその方向性を推進する立場をとっております。

 その意味で、まず、同意見書のタイトルにある「都加算の存続」を求めていることについては、私たちとは違う方向性を示しているといわざるを得ず、同調できるものではありません。

 東京都が今回提案している「仮称・子育て推進交付金」について簡単に触れておくと、都が、これまで市町村に対して行なっていた子育て支援関連13事業への補助金であった平成16年度決算ベースで約139億円だったものを、平成18年度からは初年度最大145億円の交付金制度に再構築するもので、人口を基礎に算定する「基本分」と、延長保育、ショートステイ、育児支援ヘルパーなどの実施率を考慮して配分する「政策誘導分」の2階建てとし、この交付金総額を、初年度「基本分」90%対「政策誘導分」10%から、21年度には80%対 20%へと、段階的に政策誘導分を引き上げ、保育所の定員を増やした場合には、別途予算措置をとることも保障しております。

 都が示している13事業への交付金は、平成16年度決算または17年度予算の総額で算定されるため、本市の当該各種子育て支援事業の高い実施率から換算しても、他市よりも高い交付率となることは容易に想像でき、本市にとって「交付金化」は決して後ろ向きに考える必要はなく、本市がさらに効率・効果的な保育サービス、例えば、保育園の民営化などを進めていけば、より、全ての家庭に対する多様な保育サービスの展開もさらに充実できるものと考えます。

 要は、本市がどういう形でそれぞれの事業の水準を維持するかという、創意工夫と力量が問われているのだと思います。

 意見書では、「すべての家庭を対象とした子育て支援事業を伸ばせば伸ばすほど、市町村は財源不足に陥る」と述べていますが、この文言からは、認可保育所と学童クラブの運営の効率化等の思想は一切なく、すべての家庭を対象とした子育て支援事業をやるならば別財源でやれという理屈を原点とするもので、財源問題や子育て全般のバランスを考えない、極めて視野の狭い発想で、既得権益の保護のみを主張する、まさに、地方分権や三位一体などによる、現在の疲弊した行政システムの改革への“抵抗勢力”そのものの考え方であるといわざるを得ません。

 意見書では、また、「積算の根拠も目的も曖昧な交付金では、都の財政状況や政策判断で削減・縮小が可能」とも述べていますが、積算の根拠や目的は、先ほど述べたとおり、人口割の「基本分」と事業への「政策誘導分」で算出されることからも極めて明快で、都の財政状況での交付金削減・縮小の可能性についても、それでは補助金ならば削減・縮小がないかといえば、これまでの経緯からもそのような保証は全くなく、むしろ、今回の都の提案で、21年度まで「基本分」と「政策誘導分」の交付金額の確保と、「定員増分」の別途加算まで本則で保障するとしていることは、東京都の、効率・効果的な子育て支援制度確立に向けたなみなみならぬ決意の表れとして評価に値するのではないでしょうか。

 また、この方向性は、本市における「第二次子どもプラン武蔵野」に謳われている、子ども関連施策の進め方の中にある、「多様な主体による事業が家庭・地域・職域のそれぞれにおいて積極的に行なわれるよう、市民や関係機関と連携して取り組みを推進していく」という姿勢に、制度面での自由度を与え、子育て施策全般をバックアップするものとして期待できるものとも考えます。

 よって、私たち自由民主クラブは、最小の経費で最大の行政サービスの実現、効率・効果的な保育への転換を推進し、受益と負担のバランスをしっかりと見直しつつ、全ての家庭を対象とした子育て支援施策の充実をさらに進める観点からも、本意見書には同調できないことを申し上げ、議員提出議案第10号「保育所運営費・学童クラブ運営費等都加算の存続と子育て支援費拡充を求める意見書」への反対討論と致します。

 

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